雨は久しぶりです。雪どけのあとは街中は汚れているので、雨は嬉しいものです。
2回か3回、ザーザーと降ってほしいものです。すると冬の間に雪の下にたまっていた汚れが落ちるように思います。
残念ながら、今日の雨はしとしと雨でしたが。
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「もう一つのコップ」
高橋順子
起きてみたらテーブルにコップが二つあるので
一人暮らしの女はひそかに驚き いぶかるが
夕べは というよりも夕べも ひとりだった
うつらうつら考えるに
寝しなにウィスキーを飲んで それから
おそらく明けがた水が飲みたくなって
もう一つコップを置いたのだ
ベランダを見たら
今年最初の朝顔が咲いていて
鉢の中の土がカラカラに渇いていた
高橋順子詩集『普通の女』より
高橋順子さんは、車谷長吉さんの奥様。
この詩は、一人暮らしの女性の寂しさを詩っているのでしょう。
きままで良いのですが、たまには寂しいと感じることもある。最後の朝顔の鉢の部分にそれを表しているのかなと思いますが。
それで、作者は、結婚したのかもと想像してみたり。
なかなか大変な旦那様だったようで、ご主人について書かれた作品もあります。
こんな旦那様だったら、一般的な女性は逃げ出してしまいそうですが。
結婚生活は修業のようでしたと仰っているので、包容力のある女性なのでしょう、また、
強く旦那様を愛していた、、姉のように、母のように夫を愛していたのではと思いますが、
夫婦こそは、他人には理解しきることは出来ないものですから。
車谷長吉さんの作品は独特で、1冊でも読むと忘れられない作家さんになります。
私にとっては異世界の事々でした。
不思議な作家さんで、自分できちんと体験しなければ気がすまない人だったのかなと。
赤目四十八滝は実在する場所のようですが、
美しい場所のようで、大阪の人などは子供時代に何回か行きましたよと言います。
この作品は、最初から最後まで、ええー?!
こんなのある?! シチュエーションが私には想像出来ない範ちゅうのものばかりでした。
そして、この作品を書いた人が高橋順子さんのご主人とは、なかなか納得出来なかったのですが。
車谷長吉さんの写真をみると、眼がとても清んでいます。きっと正直で心は清い人だったのだろうなぁと。
高橋順子さんの心を掴んだ人です。
どこまでも澄みきった美しい心の持ち主だったに違いないと思います。