一人、お茶飲み。
お茶というより、チョコレートドリンクが飲みたくて。
はす向かいの席に座っていた二人連れの女性達の話が、丸聞こえで。
お子さんの学校が同じようで。
「 クモノイトって知ってる?」
「芥川の?」
「それ、それ! どんなあらすじか教えてって、、」
「読んでないよね、、」
「読んでない、読んでない、芥川の作品だってことは知ってるけど。」
「うちは、、坊ちゃん、だったな、
教えろって言われてもね、はっきり言って、読んでないし、、」
二人の会話は、そんな感じで、お子さんにすると親だから、それくらいは読んでるだろうと、あらすじを訊くのだろうけれど、
教科書にも出てくるので作者名と作品名は知っていても、本は読んでいないというところだろうか。
いくら名作だから、日本を代表する作家だからと読まなくてはダメということはないのだけれど。
少し、驚いてしまった私。
川端康成、開高健、大江健三郎、山本周五郎、谷崎潤一郎、、、、
二人は、それからずっと、しりとりをするように、作家の名前と作品名をあげて、
読んでない、読んでないと言って笑っていた。
あっけらかんとして、楽しげで良いなぁと。
私は、本は随分と読んではいる、
ただ、それだけ読書していれば当然のごとく、テレビはみない、映画も観ない、
ドラマや映画の話になると、作品名は知っていても、見ていないのだから、彼女達の読んでないと同じことで。
好きなこと、優先すること。
十人十色とかとは、全く次元の違うことのようにも。
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絵の先生のお宅に寄り、昨夜必死に描いたデッサンを見てもらう。
すっかりお年寄りの先生で、奥様とは非常に仲むつまじく、老年の仲良し夫婦というのは、気持ちの良いものだと感じる。
私のデッサンを、お二人でじっくり眺めて、
先生が奥様を描かれたデッサン画を見せて下さった。
結婚当初から、ずっと奥様を描き続けているようで、奥様への愛情の深さを感じさせられましたが。
着衣半分、ヌード半分。
先生は昔で言うところの日曜画家さん。
サラリーマンの傍ら絵が好きで描き続けてきた人。
プロになるつもりなどないので、自由に楽しく、描きたいものだけを描いてきたとか。
風景画より、人物画がお好きなようで、
奥様は何十年も描き続けてきたのでしょう。
「うーん、、、背中から腰、臀部の線は上手ですね、、、ただ、、うーん、、乳房ですが、
うーん、、もっと張りをね、、描かなきゃ、、」
私は、分かるの?
洋服を着てるのに、、分かるのかしら?
内心はそのように思っていたのですけど。
奥様が紅茶をいれて下さり、
「どうぞ、、主人は、、人間が好きなんです、
女性が好き、女性の柔らかな体が好きなんです、、それでね、、着衣の上から、おおよそ、その人の体が想像できるみたいですよ。」
私が驚いたのは、、私のスリーサイズをあてていたこと。
びっくりもしながら、好きなことというのは、変に頑張らなくても、深く身についてゆくものなのではと。
わぁ! 日が変ります。