傍目八目

日々の思いをつらつらと

茨木のり子さんの詩を読む


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   茨木のり子さんの詩

 

   『さくら』

 ことしも生きて

 さくらを見ています

 ひとは生涯に

 何回ぐらいさくらをみるのかしら

 ものごころつくのが十歳ぐらいなら

 どんなに多くても七十回ぐらい

 三十回 四十回のひともざら

 なんという少なさだろう

 もっともっと多く見るような気がするのは

 祖先の視覚も

 まぎれこみ重なりあい霞だつせいでしょう

 あでやかとも妖しとも不気味とも

 据えかねる花のいろ

 さくらふぶきの下を

 ふらふらと歩けば

 一瞬

 名僧のごとくにわかるのです

 死こそ常態

 生はいとしき蜃気楼と

 

 

いっさいの甘え抜きで生き抜いた茨木のり子さん。尊敬する詩人です。

「さくら」は、やわらかい詩になっていますが、十行目の、祖先の視覚がきいていますね。

さくらだけでは終わらせたくない作者の意志を感じます。

 

・・・・・・・・・・

 

 

次に、

   『通らなければ』

 幼い頃

 わたしは勇気りんりんの子供だった

 大人になったら

 こわいものなしになる筈だった

 気づいたら

 やたらに こわいものだらけに

 なっていて

 まったく

 こんな筈じゃなかったな

 よくものが見えるようになったから

 というのは うぬぼれ

 人を愛するなんてことも

 何時のまにやら

 覚えてしまって

 臆病風はどうやら

 そのあたりからも

 吹いてくるらしい

 通らなければならないトンネル

 ならば

 さまざまな怖れを十分に

 味わいつくして行こう

 いつか ほんとうの

 勇気凛凛になれるかしら

 子供のときとは

 まるで違った

 

 

 この詩は1969年の作品です。

 

子供時代は、みんな勇気凛々です。世の中を知ることで、怖さが生まれます。

そこを乗り越えると、本当の勇気ある人間になるようですが。

 

勇気ある人間、、いそうで、なかなかいませんね。本当に勇気のある人間。

 

 

恐いけれど、立ち向かってゆく勇気。

 

こちらは、やっと桜の開花のニュースが。

今日は暖かいのですが、明日からはまた、気温は急降下します。雪マークも。

桜の木には、耐えて頑張ってもらいたいです。

 

連休中はお花見。

順調に咲いてほしいところですが。

 

どうかな?